2017-05-16 ケサランパサランの飼育箱 いる!ケ・セランパサランが。 斜陽が光を込める台所に。 泥酔と快晴の顔がまざった朝のクラスルームに。 猫の鳴いた暗い砂利道のはずれに。 桐の箱におびきよせる。 息が死んでしまわないよう小さな穴をあける。 そうして餌にはおしろいをあたえるべし。 ケサランパサランが飛んでいる。 奢侈品である聖水を注いだグラスの隣。 白衣の苦悩と薬品の臭いが満たす空ビーカー。 蚕の亡骸を葬る絹の棺に。 ケサランパサランが。花の種子でなく、動物の胆石でない。 それは妖怪であった。