鯨と羊とおおいなる猫

草を食むように、文字をならべます

ケサランパサランの飼育箱

いる!ケ・セランパサランが。

斜陽が光を込める台所に。

泥酔と快晴の顔がまざった朝のクラスルームに。

猫の鳴いた暗い砂利道のはずれに。

 

桐の箱におびきよせる。

息が死んでしまわないよう小さな穴をあける。

そうして餌にはおしろいをあたえるべし。

 

ケサランパサランが飛んでいる。

奢侈品である聖水を注いだグラスの隣。

白衣の苦悩と薬品の臭いが満たす空ビーカー。

蚕の亡骸を葬る絹の棺に。

 

ケサランパサランが。花の種子でなく、動物の胆石でない。

それは妖怪であった。

バースデイストーリーズ

ある人が誕生日である。

私がなにかしら、とくに”ジュース”をプレゼントする。

 

ある人が誕生日である。

私がなにかしら、とくに”ジュース”をプレゼントする。

 

ある人が誕生日である。

私がなにかしら、とくに”ジュース”をプレゼントする。

 

 

なぜ、最近の私の財布はここまで寂しくなってしまうのだ。

百円札を燃やすほどの愚行をしたことはないはずだ。

だが、

人の誕生日は素晴らしいものだ。

それに貴賤はない。

ただ、

バースデイがあるだけだ。

 

おめでとう!すべてのハッピーバースデイ!

バビロンの壁

高さは90mにおよび、厚さは24mに達する。

それの最上部に位置するわれらが弓兵のまえに、どのような賊であろうとも太刀打ちできぬ。

バビロンを流れる川の流れは今日も素晴らしい。

ああ、このバビロンに侵入できるのはユーフラテスの川の水のみであろう!

 

夢を見た。バビロン行きの夜行列車にて私。

 

ネブカドネザル王に祈りを。

 

日々の思想による疲れと、それについての一考

カフカ

太宰。

夏目漱石

マルクス

ニーチェ

ヘミングウェイ

ドストエフスキー

 

挿入-

 

彼ら以外にも私が好きな本書きはごまんといるが、ごまんと挙げていたらキリがない。

許せ、フィリップ・K・ディックとかメルヴィルとか...ホントごめん

 

-

彼らは思想する。もといしていた。

私は彼らの思想をのぞき、すくい、においを嗅ぎ、なめてみたり、叩いてみたりする。

それがたった一度、たったひとつの思想であるのなら、実に趣深く、いたく安易なものであるだろう。

だが、彼らは諸氏百家。尽きることのない思想の奔流で私を襲う。

私は万物を受け入れられる溶媒でもない。氷塊のうえに彼らは氷塊を落としてくる。

そして、あるときになると、私の意志とは関係なく、門はしまる。

それから悠久(誇張)の流れののち、氷塊は私となる。そして門がひらく。

 

思想とはとても重い!私にとってのカルボナーラだ。それも卵が乗っているもの。

しかし、彼らの甘い誘惑には逆らえない。抗えない。のっぴきならない。

 

そう、私は思食家であるのだ。マウスほどの胃をもった思食家。

平成吸引祭日

ふぅー。今日も一仕事をとげたとげた。なしとげた。

さぁ、なにかで一息つこうじゃないか。

右手を上着のポケットに伸ばし、取り出す。

箱から出し、強く加えて味わう。

 

ココアシガレットはいつも美味い。

耽美な味だ。

 

 

昨日は本が落ちてくるほどアンラッキイだったが、

今日はなかなかにグレイトフルな一日だ。

スティーブンソンの宝島が落ちてきた昨日より、

ワイルドのドリアン・グレイを拾い上げた今日が素晴らしい。

世界に「善」と「悪」があるとして

昨日(さくじつ)の不吉は今日に的中した。

いかんしがたい仏滅である。

 

世界に「善」と「悪」があるとして、

あなたはどちらだろうか?

すくなくとも、私のコーヒーは善である。

デッドマンズ・チェストに降りた彼らは少なくとも悪である。

 

うーむ、いかんしがたい。